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僕は研究者なので、過去に公表した論文、自分の意見の変遷なども常に検証し続けないといけないと考えています。今回は20年前に書いた第4世代原子炉のトリウム溶融塩原子炉に関する本の書評を自己検証してみようと思います。 20年前、 古川 和男 (著)「「原発」革命」 amzn.to/390JjSC を読んで、当時「書評の鉄人」28号としてbk1という本のサイトに、本書がテーマにしている「トリウム溶融塩原子炉」に関してかなり否定的な書評を投稿したことを思い出しています。 「トリウム溶融塩原子炉」は、簡単に説明すると、第4世代原子炉の一つで「「溶融塩」と呼ぶ液体に燃料のトリウムやプルトニウムを混ぜた、液体燃料を使う原子炉」のことです。 https://rief-jp.org/ct10/7614 最近、トリウム溶融塩原子炉を搭載するコンセプト実験船「THOR」がノルウェーで発表されたと知りました。ノルウェーは僕が日立製作所で核燃料の研究をしていたときも、ハルデンという研究所で積極的に原子力の研究をしていたことをおもいだしましたし、共同研究もやっていました。 https://engineer.fabcross.jp/archeive/220606_thor.html?fbclid=IwAR2ExM3FQHvRolXBioxNpYFMC7-3FJpaFFyr8w2HBg3ZFQlT0yCQDSyERDU 古川 和男 (著)「「原発」革命」の出版から20数年を経ていよいよ次世代SMRの開発へ世の中が動き出したのだと、当時の僕の見識を恥じるとともに、古川氏に謝りたい気持ちでいます。 当時僕は核燃料の研究開発の職を辞して、オーストラリアに移住し、大学のポスドクとして心機一転で余裕がなかったと思います。自分を正当化するために、原子力には少し否定的になっていました。古川氏の推奨するトリウム溶融塩原子炉は、確かに理想的な原子炉だけど、現実社会は軽水炉にも否定的で、ましてや高速増殖炉も相当な風当たりだったのを記憶しています。 自戒の念も込めて、当時の僕の書評を載せ、自分で過去の自分を検証します。当時の書評はhontoという本のサイトに今でも残っています。 https://honto.jp/review/user-review_819200024974.html?pgcl=5u0026pgno=2 「理想の原発と現実社会のギャップ」2002/11/24 14:16 数年前まで原子力の研究という世界にいた私には、大学時代の講義や研究職時代を思い出しながら、非常に面白く、そしてかなり感動しながら本書を読むことが出来た。個人的には本書で紹介されている米国オークリッジにも行き、シーボルグ博士にも直接お会いして、かなり身近な内容であった。 技術的には著者の仰る通り、色々な意味でかなり理想的な原子炉であると思う。著者も指摘されておられるように、燃料となるトリウム製造過程でU233から発せられるガンマー線がかなり問題になることであろう(しかし、テロ防止には役立つとのことで、その点が全くネガティブだというわけではなさそうである)。私自身は、固体核燃料の照射損傷の研究をずっとやってきたのであるが、その研究動機の根底から見直す、つまり液体燃料にするという発想そのものは私の頭の中にはなかった。その点は非常に新鮮に感じた。 技術的な一番大きな問題点は、燃料の液体そのものが熱交換器まで巡回することであろう。確かに交換器の部分の圧力差や熱応力、腐食などは、軽水炉と比べれば問題ないのであろうが、それでも初期欠陥が熱交換器(複雑な細管)にあると核分裂生成物(燃料)が直に二次冷却側に漏れ、さらに蒸気タービンまで到達してしまう危険性は大である。 著者は20年で実証できると考えて居られるようであるが、その根拠が薄弱なように感じた。また、50〜70年で太陽光等のエネルギーへ移行するとの根拠も本書からはあまり汲み取れなかった。その点は本書でキーとなる重要事項だと思う。もし実証に30年かかり、太陽光へ40年程度で移行できるとすると、この原発を開発するよりは、現在の世界中に400基以上ある軽水炉をより安全に運転して直接太陽光の方へ移行したほうが良いと思うからである。 著者は、現行軽水炉の技術も確保しつつ、熔融塩炉も開発し、さらに同時に太陽光などの新エネルギーにも注力するのが良いとのこと。「なぜそんなに良いとされる熔融塩炉がいままで開発されなかったのか?」との疑問に答えておられるが、すでに世界中で400基以上の軽水炉が運転されている現在、もうその疑問に答えられても、歴史は戻せない(とき既に遅し)と感じる。 良い悪いは別とすれば、現行軽水炉は「英語」のようなもので、熔融塩炉は「エスペラント」のような例えができるのではないだろうか。確かにエスペラントの方が優れており理想であるが、現実社会はとにかく「英語」で動いている。なぜ素晴らしいエスペラントが普及せずに、欠陥だらけの英語が普及したのか、の理由に答えられても、とき既に遅し。完璧な自動翻訳装置が完成するまでは「英語」を使用するしか手はない…そんな気分である。 著者の言う「人材こそ技術」というのは、全くその通りだと思うが、現行の軽水炉の技術でさえ維持するのがかなり怪しくなっている昨今(それはマスコミや原子力反対派の方々にかなり責任があると思っているが)、「つなぎ役としての」熔融塩炉に「人のやる気を起こさせる」夢や希望を与えることができるのか…私は原子力の研究をやめてしまったが、この本を読んで感動こそすれ、今から原子力の研究に戻ろうとは思えない。日本の大学の原子力工学科はほとんど全て消滅してしまっている。原子力を専攻する学生が激減し、しかも優秀な学生も集まらない状態を改善するだけで10年は簡単に吹っ飛んでしまう現実。理想が理想だけで終ってしまわないようにするには、一般人のドラスティックな意識改革に着手しなければならない。私には本書からはそのエネルギーを感じることができなかったのは残念である。 上記bk1でのオリジナルの書評と今回付け加えた書評全ては、アマゾンの以下のリンクに再掲載しました。 https://amzn.to/3NZdmZQ 【関連リンク】 ・Facebook: https://www.facebook.com/kazuhiro.nogita ・The University of Queensland: http://researchers.uq.edu.au/researcher/653 ・NS CMEM: http://nihonsuperior.mechmining.uq.edu.au/ ・ORCID (0000-0002-0721-6600): https://orcid.org/0000-0002-0721-6600 ・Scopus ID (7004073769): https://www.scopus.com/authid/detail.uri?authorId=7004073769 ・Google Scholar ID (DGdqQzcAAAAJ): https://scholar.google.com.au/citations?user=DGdqQzcAAAAJu0026hl=en 【野北和宏の略歴】 ・出生地:福岡県北九州市若松区生まれ。 ・教育:若松天使園、福岡市立若宮小学校/古賀町立古賀東小学校、福岡市立平尾中学校、福岡県立筑紫丘高校、九州大学工学部応用原子核工学科(学士)、九州大学(博士(工学))。 ・仕事:日立製作所エネルギー研究所(日本核燃料開発(株)出向)、クイーンズランド大学 【野北和宏の仕事成果(2022年6月現在)】 ・査読付き学術論文出版:200報以上、
【研究者の書評-53】古川和男 (著)「「原発」革命」。20年ぶりに再読して、トリウム溶融塩原子炉に関する過去の自分に喝!【研究者の書評-53】古川和男 (著)「「原発」革命」。20年ぶりに再読して、トリウム溶融塩原子炉に関する過去の自分に喝!【研究者の書評-53】古川和男 (著)「「原発」革命」。20年ぶりに再読して、トリウム溶融塩原子炉に関する過去の自分に喝!【研究者の書評-53】古川和男 (著)「「原発」革命」。20年ぶりに再読して、トリウム溶融塩原子炉に関する過去の自分に喝!
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