イランの革命防衛隊コッズ部隊(対外工作部隊)司令官、ソレイマニ将軍への攻撃は米国の斬首攻撃だった。さぞや北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は肝を冷やしたことだろう。強烈な抑止力だ。
一方、その陰で1月2日に台湾軍の参謀総長が乗ったヘリコプターが、北東部・宜蘭県の部隊を訪問するため台北市の松山空軍基地(軍民両用)を離陸した直後、山中に墜落し、乗っていた参謀総長をはじめ8人が死亡した。
しかし、この「事故」があったことに、日本人は関心がないようだ。
この2つに何か類似性はないのか、疑問に思うことはないのだろうか。そして、誰がこの2つの出来事を喜んでいるのかを考えることはないのだろうか。
国際社会を揺るがす事件に直面しても軍事は他人事、国民皆評論家ではこの国の行く末は危ない。
■ 2 中東の危機
米国とイランの本格的な対決は始まったばかり
言うまでもなく、現代の中東の危機はイスラエルに起因していると言っても過言ではない。
そして、米国の中東政策の大きな誤りは、イラクを2度の戦争で壊滅させ、力の空白を作ったことに起因している。
湾岸戦争まで、イラクは少数のスンニー派が支配し、過酷な統治であったものの、中東における米国の盟友であった。
過酷な統治が悪いというならば、アラブの国の統治はサウジアラビアなども例外でなく過酷であろう。
イラクが壊滅し、力のないシーア派の政権になって以来、イランが浸透する土壌ができ、さらに、スンニー派の残党を中心とするイスラム国を米国が中心となり壊滅させたが、結果的に、米国がイランのイラクに対する浸透を手助けしただけだった。
今イランは、核武装する可能性のある反イスラエルの最後の砦であり、米ドナルド・トランプ大統領がイスラエルに傾倒すればするほど、イラン壊滅に向かうだろう。
今回の休戦は一時的であって、イランの後押しを受けた民兵組織などが、もし、イスラエルを攻撃したならば、米国は即、イランに対して大規模な攻撃を仕かけるだろう。
■ 中東の危機は日本の危機
米国が、イランに関与すればするほど喜んでいるのは中国・北朝鮮だ。
しかし、米国は中国打倒を諦めたわけではない。イランを叩き、中東が不安定化すれば、中国は原油を輸入することが困難になってこよう。
米国は、イラク、アフガニスタンの軍事作戦で圧倒的な破壊力を発揮したが、中東諸国の粘り強いゲリラ戦には手を焼いている。
そこで、今後は、(1)経済制裁を主とし、粘り強くイランを屈服させる(2)短期決戦でイランを攻撃し決着をつけるという2つのオプションを持ちながらイラン対処に臨むだろう。いずれにしても核の放棄は妥協しないだろう。
(2)のイランを攻撃する場合は、限定的な「A2/AD」能力を持つイランに対する攻撃の様相は、ミサイルや空軍、空母からの対地攻撃、すなわち、太平洋正面では放棄した「エアシーバトル」で一挙にイランの重要なインフラや地上目標を破壊することになるだろう。
当然、イランの核施設の完全破壊が主目的だ。
核のないイランはイスラエルにとって、もはや脅威ではない。その後米国は、経済制裁を強化することによってイランを3流国にまで貶めることは可能だ。
上手くいけば、もう一度イラン革命へ持っていけるかもしれない。
一方、米国は、中東の石油はもはや米国にとって必要ないと明言した。
今後、米国はゲリラ戦に巻き込まれる不毛な戦いには関与せず、中東から大きく距離を置く可能性が出てきたと見るべきだろう。
そうなると、中東石油依存率約88%の日本は、遂にそのような事態になったかと生存の危機を感じないだろうか。
米国にとっては、当面、イランと中国という2正面作戦で不利な態勢ではあるが、イラン問題が収束し中東に関与をしなくてよくなれば、その後は中国へ専念できる。従って米国にとっては
(1)万一、武力衝突に突入した場合、イランとの対決は海空主体の短期決戦に持ち込む。
米国の軍事産業にとっては、対地用の旧い弾を撃ち尽くすことで、対中国用の新型弾道ミサイル、対艦ミサイルなどの増産へ移行ができ、結果、新旧交代で(言葉はよくないが)儲けることができる。
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https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200115-00058940-jbpressz-cn
